ケーススタディ case study
更なる成長を目指すための事業承継
~コロナを乗り越え、日本最大の日本語学校へ~
- NSSK2号
- 事業承継
- スペシャルシチュエーション
- 教育
- 投資中
ISIグローバル株式会社(以下、ISI)は、国内の日本語教育業界でトップシェアを誇っています。日本産業推進機構グループ(以下、NSSK)は、新型コロナウィルス感染症の影響が依然として続く中、日本政府による入国制限の持続にも関わらず、2021年10月にISIへの投資を実施しました。人口減少が社会的な懸念事項となるなかで、外国人材に対する日本語教育は極めて重要な課題となっています。NSSKは、ISIの成長を後押しし、日本語教育業界の発展を通じて、国際的な人材の流入を促進することで、日本のグローバル競争力向上に寄与しています。
企業名 | ISIグローバル株式会社 |
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投資時期 | 2021年10月 |
業種 | 日本語教育事業 |
背景 | スペシャルシチュエーション、事業承継 |
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CONTENTS
「多国籍」という価値を打ち出し、ISIブランドを確立
01
ISIは、1977年に長野県上田市で、創業者である荻野 祥二郎氏が始めた学習塾「信濃学院」をルーツとしています。その後、事業を予備校に拡大し、1992年には長野県内で日本語学校を開校し、2002年に東京、2003年には岐阜と日本語教育事業を拡大しています。2012年には、荻野正昭氏に経営が引き継がれましたが、それ以降も拡大路線を継続し、政府による「留学生30万人計画」の推進もあり、2019年には業界最大規模まで校舎キャパシティを拡充しました。
荻野正昭氏自身が留学体験を持つ背景から、留学は単なる「語学習得」だけでなく、「異なる価値観や文化との交流、友人の作成、世界規模でのネットワーク構築」という価値を重んじ、それを具現化する学校作りを行っています。日本語学校では、多国籍な学生が集まるケースは稀ですが、ISIは留学代理店のネットワーク拡大を通じて、欧米を含む多様な学生の受け入れを積極的に行い、「多国籍」というブランドを確立しました。ISIとは、「International Study Institute」の略称であり、そのブランド・マークには、「成長と多様性」という価値観が込められています。
更なる成長を視野に入れた事業承継
02
ISIとしては、新型コロナウィルス感染症の影響が拡大する以前から、さらなる成長を視野に入れ、組織体制の強化に加えて、M&Aを通じた非連続的な成長を実現することが重要であると考えていました。ただし、業界最大手としても、日本語学校は非常に特殊な市場であり、マネジメント層の採用に課題を抱えており、現在の事業展開において最大の可能性を引き出すことができていないという認識がありました。そのため、積極的な事業拡大を支援してくれるパートナーを求めていました。
提携先としては、事業会社との連携も模索しましたが、一部門に留まる可能性が高いと判断しました。その中で、NSSKとの出会いがあり、NSSKが提供する業務支援パッケージや国際的なネットワーク、そしてNSSKメンバーの人間性を総合的に評価し、NSSKに事業を承継し、会社を託すことで、より大きな成長を実現できるとの信念を得ました。
コロナ禍という不確実な投資環境下における投資実行
03
しかしながら、M&Aを検討していたタイミングは、まさに新型コロナウィルス感染症が広がる中でした。この不確実性が高まり、将来の見通しが不透明である状況下で、検討は困難を極めました。そのような状況においても、NSSKは世界的に留学が継続される中、日本だけが入国制限を続けることは現実的ではないという前提に加え、長期的な視野から、日本の人口減少や高齢化を考慮すると、今後ますます外国人の受け入れが必要であり、外国人が選ぶ日本語学校を育てることが、日本の国益に貢献すると信じ、NSSKのミッションである「日本経済に新たな力を与える」ために、今の時点での投資を決断しました。
さらに、入国制限が一定期間続いても、資金ショートを回避するために、事前に資金を確保することで、経営陣や従業員が安心して事業を推進できる体制を確立しました。
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